top of page

メニューのないレストラン(第6話)

  • 執筆者の写真: Soko O'Neil
    Soko O'Neil
  • 2009年6月2日
  • 読了時間: 3分

メニューのないレストラン

ー第六話ー  い、いや、、できない  できません…  所詮、あこがれなんです  もういいんですよ。食べなくても…  伏し目がちに目を開けて首を振りました。  怖いのね。  怖くはないけど、今さらって感じだし…  怖いのよ。  責任をとるのが怖いのよ、あなたは。  イメージが現実になれば  あなたの周りにはたくさんの人が集まってくるでしょう  憧れの的になるかもしれないわ  あなたはそれを手に入れても食べ続ける自信がないのよ。  思考に責任を持つ。  それができないんですね…わたしは…  思考に責任を持てないのはあなただけじゃないわ…  多くの人がそうなのよ  どうせ食べたってムダだ。  所詮わたし一人が注文したところで  この食べ物の良さなんて誰もわかってはくれないんだ…  ってね。多くの人が諦めてる…  だから不満だらけの世の中になってるのよ。  食べたいものをちゃんとイメージしないで文句ばかり…  みんなが、全員が自分の本当に食べたいものを  イメージして、それに責任を持ってボタンを押せば  きっと、必ず、その食べ物が目の前に現れるのに…  アールグレイのカップにポトリと輪が広がりました。  そんなに悲しい目をしないでください…  あなたのそんな悲しい顔、見たくありません  わたしはあなたに笑っていてほしい  あなたの笑顔が好きなんです!  いや、あなた自身が好きだ!  ピラララ~ン  お待たせいたしました  ご注文の品でございます  は? 何も注文してませんけど…?  ただ今、お客様のテーブルからご注文を承りましたが…  いえ、、何かの間違いじゃ…?  でも、お客様… その手…  わっ!  見ると、その人の手は注文ボタンを握りしめていました。  ごゆっくりお召し上がりくださいませ  にっこり笑うと店員さんはひらひらと行ってしまいました。  こ、、これは、、、、  目の前に置かれた料理を見て  その人は言葉を失いました  ステキな料理ね  いや…あの…  夢中になっちゃって、、  ただただ、あなたが笑っているところを  イメージして…  あなたが、わたしの前で笑っていて  わたしの憧れていた料理を一緒に食べている  そんな風景を、ただただ、イメージしてました  そして、気づいたらボタンを握りしめてて…  前だけを向いていたから  迷わなかったのね  よっ、よかったら  一緒に…たっ、食べませんか…?  えぇ 喜んで。  あ、その前に紹介しなくちゃならないわね。  あなたの食べたいものを知っている人を…  そうですよ!  どこなんですか?その人は??  その人はレストランの中をキョロキョロ見渡しました。  ここよ

Comments


Featured Posts
Recent Posts
Search By Tags
    Archive
    All Stories

    〜奏子のお歌詞箱〜

    Soko's Music & Stories

    bottom of page