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メニューのないレストラン(第7話最終回)

  • 執筆者の写真: Soko O'Neil
    Soko O'Neil
  • 2009年6月1日
  • 読了時間: 3分

メニューのないレストラン

ー第七話ー 最終回  へ? どこ??  ここ  わたしの目の前に座っているわ  その人は目線をたどって  自分の左右と後ろを目を凝らして見回しました  うふふ  おばかさんね  そう言いながら注文ボタンを押しました  ピラララ~ン  お待たせいたしました  どうもありがとう  注いでくださるかしら  かしこまりました  トクトクトクトク…  トクトクトクトク…  さあ、乾杯しましょ  キーン  クリスタルの上品な音が響き渡りました  本当に食べたいものは外に答えを求めても決して見つからない  ハートの声を聴いて、信じて、イメージして…  ええ。  わたしはもう自分の食べたいものを  迷わず注文することができます  ピラララ~ン  その人は注文ボタンを押しました  どうぞ、あなたに…  まぁ、美しいわ  どんな味がするのかしら…  そう言うと左手を宙にかかげて薬指をうっとりと眺めました  そろそろ、出ましょうか…  そうね  ピラララ~ン  お食事がお済みでございますね  ご堪能いただけましたでしょうか  店長がやってきて丁寧にお辞儀をしました  ええ  満喫させていただきましたよ  いくらになりますか?  その人は財布をポケットから取り出しました  お客様  それはこちらどものセリフでございます。  おいくらでございますか?  はい?  おいくらでございますか?って、  わたしに聞かれても…  あなた、この店の人でしょ?   うふふ  ここはね  注文した人が値段を決めることになってるのよ。  あなたが頼んだ食事の価値はあなたが一番よく知ってるでしょ  と言うよりも、あなたにしかその価値はわからないんですもの。  ぅぁへ~?  そう言われても、いくらと言えばいいのか…  その人はコソコソと財布の中身を確認しました  んっふん!  財布と相談なんかしないで  あなたのハートに聞いてごらんなさい  そ、相談なんかしてませんよ  わかってます  自分の食べ物の価値くらい…  えーーーーっと…  んーーーーっと…  せ、千…?  い、いや、、一万…?  や、や、、、十万、、百万…  値段なんて… つけられません  無限大です!  かしこまりました。  無限大でございますね。  では、無限大  お受け取りください  シャラララララララ~~~~~~~  うっうわ~~~~~~  な、なんですか?コレは…  受け取るのよ  さぁ、両手を広げて!  払うんじゃないんですかぁ~~~  受け取るのよ~  あなたの食べたものの価値は  あなたのものですもの  受け取るのよ~~  さぁ、両手を広げて!  その人は両手をいっぱいに広げて  無限に降り注ぐ光を見上げました  うわぁぁぁぁ~~~~~~~  その光は  レストラン中に降り注いでいます  だれもが両手を広げて  光のシャワーを浴びています  シャラララララララ~~~~~~~  さぁ、あなたも両手を広げて!  受け取るのよ~~~~  (完)

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