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お辞儀(第2話)

よろしくって言われたってさぁ、、 こいつをどう鍛えりゃいいんだよ…

ぐーぐー、呑気な顔して寝やがって

おい!トオル、起きろ!

もうとっくにお天道様がお見えだぞ!

ふぁ〜〜。

やべっ!遅刻だ!

あーあ、また何も食べずに出掛けるつもりだ。

いつものコンビニに入るんだな。

よーし、トオルを鍛えにかかるぞ!

「いらっしゃいませ〜」

あら、あのお客さん、今朝は頭を下げて挨拶してくれたわ、気持ちのいいお客さんだわ。

(おはようございます。店員の守護霊さん。ハチが飛んできたような錯覚をさせて

頭を下げさせましたよ)

(おはようございます。特訓中なんですね。がんばってください)

「オッス!トオル、1限目休講だってよ…」

なんだ、トオルのヤツ、今日はいきなりハグしてこないんだ

でもなんかこの間が妙に心地いいな

(こんにちはタツヤくんの守護霊さん、ズボンのファスナーに気をとられるように細工して頭をさげさせましたよ)

(こんにちはトオルの守護霊さん、特訓中なんですね。わたしもタツヤを特訓しなきゃなりません。お互いがんばりましょう)

よしよし、いい感じだぞ

ちょっと強引だけど今日はこのパターンでやってみよう。

お、向こうから歩いてくるのはトオルのゼミの教授だな

よし、見てろよ

「やあ。」

おや。この学生は私のゼミの学生だな、

なかなか礼儀正しい学生だな。

(こんにちは教授の守護霊さん、500円玉が足元に落ちてるように見せかけて

頭をさげさせましたよ)

(こんにちは、トオル君の守護霊さん。なかなかユニークな方法で鍛えておられますな。

きっと、トオル君にはいいことが起き始めますよ、がんばってください。)

「おはようざいまっす」

「おはよ!」

あら、あのバイトの子、今時珍しく礼儀正しい子だわ。

使えるかもしれないわね。

AD担当にしようかしら

(こんばんは、報道局長の守護霊さん。靴ひもが外れてるような気にさせて

頭をさげさせましたよ)

(こんばんは、特訓中なんですね、トオルくんきっと希望通りこの会社の報道局に

入社できると思いますよ。がんばってください)

******************************

「ふぁ〜、なんか今日はいつもより疲れてないな。久しぶりに溜まった皿でも洗ってから寝るか…。」

そりゃそーさ、

相手の守護霊と挨拶させてくれたんだからな。

エネルギーの交流がスムーズに行われたから疲れなかったんだよ。

俺はこれからお前を鍛えていくからな。

お互い成長しようぜ、トオル。

おい、トオル、聞いてんのか?

ちぇっ、大人しく床に入ったと思ったらまたメールかよ。

まいっか。今日のお前はよくがんばった。

今夜の守護霊会議は楽しみだな。

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「おほん、ではこれから守護霊会議を始める。」

「はあ、、はあ、、ぎりぎりセーフだ〜。」

「お、新米守護霊。どうじゃ、トオルの様子は。」

「はい、今日はトオルにまずお辞儀を強制的にさせてみました。こんな感じです。」

「あなた、見て!前のスクリーン。トオルよ。ぎこちないけどお辞儀してるわ。」

「あはは、お兄ちゃんったら自分がお辞儀してるって絶対思ってないわよ。」

「しかし、傍目にはお辞儀をしているように見えるな。相手の守護霊ともきちんと挨拶できている。でかしたな。」

「ありがとうございます、お父さん。トオルがお辞儀になれるまでしばらくこの作戦を続けてみます。」

「トオルはそのうち自分からお辞儀をするようになるじゃろう。お前もこの期間に相手の守護霊との情報交換の仕方をよく勉強しておくんじゃよ。」

「はい。ボクも一人前の守護霊になれるようにがんばります!」

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