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カネーシャ(第2話)

  • そうこ
  • 2014年5月29日
  • 読了時間: 5分

なっっ、、なんか、、聞いたことある話の展開。

わたしは関西弁でどこかの世界から来て図々しく部屋に居座る神様の話の本を思い浮かべた。

確かドラマにもなったはずだ。そうだ、そのドラマの設定そっくりではないか!

あの、あなたってもしかして、、、?

ん? あ!キミ、ひらめいた?

もしかしてワシのこと、思い出した?

みかん男はまんざらでもない顔でニターっと笑ってペッとみかんの袋を皮の中に吐き出した。

もしかして、あなたって、、、

うんうん、ワシって、、?

、、、ガネーシャじゃあ、、?

ピンポーン!ピンポンピンポンピンポーン!

みかん男は最後一個のみかんを正解ボタンのようにピンピン押しながら叫んだ。

ワシな、カネーシャやねん。やっぱワシ有名人なんやな、ふひひ。

やっぱしあそこの学校通って正解やったわ。

学校?

そや、カネーシャ養成学校っちゅうのがあってな、

カネーシャ派遣協会っちゅうところが経営しとんやけどな、

そこがまた学費が高いねん。

なんでも、本来なら卒業まで300年かかるところを

たったの一週間で卒業できるっちゅうやないけ、

んで、学費は高いけどカネーシャとして人間界に二回派遣されたら元がとれるっちゅうねん。

せやからワシ、借金してその学校に通ったんや。

な、なんか胡散臭い。。

わたしは目を細めて自称ガネーシャを斜めに見つめた。

キミ、もしかしてワシのこと疑ごーとる?

疑ごーとるやろ?

だって、神様の養成学校なんて聞いたことないですよ

そらキミ、キミら人間が知らんだけや

神様っちゅうのは長い年月修行して修行して、修行を重ねてやっとなれるもんなんや

でしょ、それならわかりますよ

でもあなたの場合、一週間ですよね? 

しかも修行じゃなくて養成学校ですよね?

いや、神様の世界も今はスピードが求められる時代でな

んな、何百年も修行しとられへんがな

キミら人間からの要求も多なってきて、神様の数が足りひんのや

だからって、、たったの一週間でなれるもんなんですか?ガネーシャに。

なれるて!ホレ、これ見てみい

自称ガネーシャは首から下げていたスタッフカードのようなものを脱いでポイとわたしの目の前のテーブルに投げた

こ、、これ。。。

な、信用してくれたか?

ワシが本物の神様っちゅうてわかったやろ?

いや、これ、、「カネーシャ」って書いてありますよ

せや、カネーシャや

テンテンがないですよ

テンテン?

なんや、テンテンて

「ガネーシャ」です、神様の名前。「カ」にテンテンのついた、「ガネーシャ」

あなたの身分証明証には「カネーシャ」と書いてあります。

発行元:カネーシャ(金の成る社)派遣協会と、、。

自称ガネーシャはわたしの手から身分証明証を奪い取るとマジマジとカードを見つめ

おそるおそる声を出した。

ガ、ガネーシャとカネーシャて、ちゃうんか?

はい。ちがいます。全く。

ガネーシャは神様。カネーシャは、、おそらく、詐欺でしょう。

わたしはキッパリと言った。

ええええーーーー!!

んなアホな、ワシ、神様やなしに、詐欺かいな?

そうなりますね。

立場が一気に逆転し、わたしは勝ち誇ったように言い放った。

んなアホな、んなアホな、んなアホな、、、

カネーシャは頭のちょんまげをぴょんぴょん引っ張りながらレコードの針が飛んだように、同じ言葉を繰り返した。

さ、もう帰って下さい。

あなたは神様じゃないんだし

いつまでもここにいられては困ります。

わたしはドラマのようにガネーシャが助けに来てくれたんじゃなかったことがわかったら、ヒロインになりそこねた自分が悔しくなった。

いや、ちょっと待ってえな、

なんもせんと帰ったらワシ、ぼこぼこにされるわ。

借金返さなあかんし、タダでは帰れんのや、、

カネーシャはタジタジになっていた。

タダで帰れないって、まさか、あなた、わたしからお金を取るつもりじゃあ?

そ、そのつもりやけど、、アカンか?

アキマセン!いや、ダメです!やっぱりアナタ、詐欺ですよ。

詐欺カネーシャ!警察呼びますよ

手に持ったままの携帯を見ると録音容量が一杯になって自動停止になっていた

いや、キミ、たのむ、ちょっと待ってえな。

ワシ、とりあえず今日の報告せなあかんねん。

それだけさして、な、たのむわ。

カネーシャはiPadのようなものを取り出して、パコパコと不器用そうに人差し指でなにやら打って送信ボタンを押した。

しばらくすると着信メールの合図のような音がカネーシャのiPadから聞こえた。

どれどれ、、、カネーシャは明らかに借り物だとわかるような、慣れない手つきで画面の受信ボック欄を指で必要以上に強く押した。

あんな、今回のは手違いゆーことで、無料でええそうな。

ふん!当たり前です!

でな、明日、派遣協会のえらいもんが謝罪に来るちゅうんや

せやから今晩だけ、ここに泊めてもらわれへん?

ここにですか?!ムリです!!

んなこと言わんと、たのむわー、この格好でワシ外でられへんやん。

アラジンとドラえもんとハクション大魔王が混じった格好のちょんまげ男を改めて見つめてみると、わたしは少しカネーシャが不憫に思えた。

、、、まあ、、じゃあ、、ここはワンルームだから、そっちで寝てくれるなら。

わたしはキッチンとユニットバスのある扉の向こうをアゴで示した。

ええでええで、ワシ、お風呂の中で寝るわ

いや、そこはダメです!トイレも一緒になってるし、夜中使うかもしれないから。

なら、どこで寝たらいいん、ワシ?

そこ。

わたしはシンクの横に置いてある物を指差した

なんやの、それ?

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