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お辞儀(第3話)

「いらっしゃいませ〜」

今日もあの感じのいいお客様だわ。

(おはようございます。店員の守護霊さん)

(おはようおございます。トオル君、なかなかお辞儀がサマになってきましたね)

(はい、もうヘタな細工をしなくても自分でお辞儀をするようになりましたからボクも楽になりましたよ)

(トオル君の波動が上がってきたのがよくわかります。どうです?わたしと一緒に更に勉強しませんか?)

(そうですね、あなたとは波長がつり合ってきましたね。よろしくお願いします。)

(ではさっそくとりかかりましょう。)

「いらっしゃいませ。350円でございます」

「どうも…これでお願いします。袋はいりません。」

「500円お預かりいたします…」

「あの〜、いつもこの時間なんですか?」

「ええ。お客様もいつもこの時間にいらっしゃいますね。」

「アパートすぐそこなんで…。休みの曜日とか、あるんですか?」

「ええ。平日しか入ってないんですよ」

「そうですか。じゃ、また明日会えますね」

「そうですね。お待ちしております。」

「じゃあ、また…」

「じゃあ、また…、ありがとうございました。」

「どうも」

「あ、あの〜…」

「?」

「お気をつけて…」

「あぁ、ありがとうございます。あなたも…バイト…がんばって」

うひひ、トオルのヤツ、ニヤけちゃって〜

今日は講義も上の空だな。

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「オッス!トオル」

「よっ!タツヤ」

「なんだなんだ、他人行儀に頭なんか傾げやがって。お前、最近変わったな」

「そうか…?別に…」

「な、バイト代、入ったんだろ?また行こうぜ、カラオケ。」

「ああ、そうだな」

「ちなみに俺、今財布空っぽだから…トオルちゃん、ヨロシク!」

(こんにちは、タツヤくんの守護霊さん)

(こんにちは。トオルくん、随分成長しましたね)

(ええ、お陰さまで)

(こっちは相変わらずですよ。どうしたらいいものか)

(以前はお互い同じ波動レベルだったのに、今は波動が合わなくなってきましたね)

(そうですね。トオルくんは人間関係の転換期にある。わたしは一旦去りましょう)_

(そうですか。では波動が合うようになったらまたおつきあいしましょう)

「わりぃ、タツヤ、俺やっぱやめとくわ」

「そっか、、了解! おっ、ヒロシ!今晩カラオケ行かね?」

トオル、心配すんな。

これからお前には素晴らしい出会いが待ってるんだからな。

このオレ様が守護してやってんだ!

見てろっつーんだ。

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「おほん。ではこれから守護霊会議を始める。」

「お兄ちゃんったら、最近遅刻しなくなったね、母さん。」

「そうね。トオルが落ち着いてきたんでしょう。」

「まず初めに、トオルの様子はどうじゃ?発表してくれたまえ。」

「はい、トオルは今やボクの小細工なしで自らお辞儀をするようになっています。その結果、周りの人間関係がどんどんと変わってきています。トオルの人生に深く関わる人と出会ったり、お互いの成長を喜び合える仲間と出会ったりして生活全般に張り合いがでてきて、充実した毎日を送っています。」

「そうか、それはよいことじゃ。」

「おかげでボクも随分と成長させていただいています。波動の高い霊がボクに手招きをして、ボクの知らないことをいろいろと教えてくれるので、とても勉強になります。そういう高い波動の霊が守護している人と出会うことで、トオルはますます波動が高くなってきています。」

「成長のスパイラルをびゅんびゅん駆け上っているのだな。この先が楽しみだ。」

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